第22回 日本褥瘡学会九州・沖縄地方会学術集会 会長 室田 浩之 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 皮膚病態学 教授 |
第22回日本褥瘡学会九州・沖縄地方会学術集会を長崎で開催させて頂き、学術集会運営委員を代表いたしまして心より感謝申し上げます。
西洋医学教育発祥の地として知られるここ長崎には、16世紀半ば以降、西洋より来訪した医師、宣教師によって南蛮医学、紅毛医学が伝承されました。そのため、全国から西洋医学を学びに多くの人々が長崎に訪れてきた歴史がございます。当時の長崎の医学を記す古い書簡には、「医術・処置」と「心のケア」によって病と心の双方を癒すことが医術の根幹であると記されています。また、医療を成す学問領域の広さ、深さを表す次のような善行の記録(19世紀)が残されています。長崎のとある村に着任した宣教師は村民の健康状態の窮状に際し、栄養状態を回復させるために畑作りと穀物・クレソン栽培技術を村民に伝授したそうです。さらに村に腸チフスが蔓延した時は診療所に感染者を隔離するとともに欧州から薬や医療機器を取り寄せ、感染拡大を最小限に食い止めました。この宣教師の博学さには敬服するばかりです。長崎の地で展開されてきた医学を振り返りつつ、医療とは「癒し」と「博学さ」を基盤にケアを提供することだろうと改めて考えた次第です。
このことから、本学術集会のテーマを「心をもって為す癒しの技〜褥瘡ケアの真髄へ〜」とさせていただきました。皆様にはぜひ長崎にお越しいただき、歴史と異国情緒あふれる街並みや長崎グルメなど文化に触れつつ、共に癒しの技を考える機会にしていただければ幸いです。
プログラムの表紙は長崎伝統のハタ(凧)に描かれる伝統的な絵の一つ、オランダの国旗をイメージした青・白・赤の配色による「波に千鳥」がモチーフとなっております。どんな波も共に乗り越えるという想いを込めてみました。この崇高な想いを実現に繋げるべく、学術大会運営事務局一同、鋭意準備を進めております。皆様と長崎でお会いできることを楽しみにしております。